シニア世代なら誰でも気になるのが、お金のことですよね。
「これからいくら必要なんだろう?」「年金だけで大丈夫だろうか?」「同世代のみんなは、どのくらい持っているんだろう?」
テレビや雑誌で「老後2,000万円問題」といった言葉を目にするたびに、漠然とした不安がふくらむ。そんな方も多いのではないでしょうか。
でも、不安の正体は、実は「分からないこと」そのものです。敵を知り己を知れば百戦して危うからず。孫子の言葉のとおり、まずは「自分のこと」をしっかり理解するところから始めましょう。今日はその第一歩をご紹介します。
世間の「現在地」を眺めてみる――富裕層ピラミッド
まずは「敵を知る」ほうから。世の中の資産分布を見てみましょう。
野村総合研究所が発表している有名な「富裕層ピラミッド」(2023年推計)によると、日本の世帯は純金融資産(貯金や株などの金融資産から負債を引いたもの)の額で、次のように分類されます。
| 階層 | 純金融資産 | 世帯数 |
| 超富裕層 | 5億円以上 | 約11.8万世帯 |
| 富裕層 | 1億円以上5億円未満 | 約153.5万世帯 |
| 準富裕層 | 5,000万円以上1億円未満 | 約403.9万世帯 |
| アッパーマス層 | 3,000万円以上5,000万円未満 | 約576.5万世帯 |
| マス層 | 3,000万円未満 | 約4,424.7万世帯 |
出典:野村総合研究所ニュースリリース(2025年2月13日発表) https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20250213_1.html
見てのとおり、日本の世帯の約8割は「マス層」です。メディアには華やかな話があふれていますが、実際はこれが現実の分布です。
悲観する必要も、慌てる必要もありません

「自分はピラミッドの下のほうだ……」とがっかりした方、ちょっと待ってください。この表を見て悲観したり慌てたりする必要は、まったくありません。
理由はシンプルで、比べる相手は「他人」ではなく「過去の自分」だからです。
私がお金の勉強で参考にしているリベ大の両学長も、動画の中で繰り返しこう語っています。他人との比較は不幸の始まり。隣の誰かより多いか少ないかで、あなたの人生の豊かさは決まりません。大事なのは「去年の自分より、今年の自分は良くなっているか」。それだけです。
そして「過去の自分と比べる」ためには、まず今の自分を数字で知る必要があります。
資産と負債を「総点検」してみよう

最初の一歩が、自分の資産と負債の総点検です。両学長の動画では「バランスシート(貸借対照表)を作る」と呼ばれている作業で、初心者向けにとても分かりやすく解説されています。
▶参考動画:『【初心者向け】まずはココから!自分の「資産」「負債」を完全把握しよう』(リベラルアーツ大学・第249回) https://www.youtube.com/watch?v=Xg-l-jLnxE0
やることは簡単です。紙とペン(あるいはスマホのメモ)を用意して、次の2つを書き出すだけ。
【資産】いま持っているもの……現金・預貯金(すべての口座)、株式・投資信託、保険の解約返戻金、持ち家や車(いま売ったらいくらか)
【負債】返さなければいけないもの……住宅ローンの残り、自動車ローン、カードの分割払い・リボ払いなど
そして、資産の合計から負債の合計を引いたものが「純資産」。これがあなたの本当の現在地です。
やってみると、「保険の返戻金が意外とある」「使っていない口座にお金が残っていた」といった発見がある一方、「持ち家は思ったより値段がつかない」といった現実も見えてきます。良いことも悪いことも含めて、現在地が数字で見えると、不安は「対策できる課題」に変わります。
シニア世代の場合は、あわせて「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で年金の受給見込み額を確認しておくと、収入面の現在地も分かって効果は倍増です。
現在地が分かったら――シニアが特に気をつけたいこと
総点検が終わったら、次の一歩はこの2つです。
①固定費を見直す(貯める力)。収入を増やしにくいシニアにとって、一番確実で効果が大きいのは支出の見直しです。スマホを格安プランに変える、目的の終わった保険を整理する。この2つだけで年間数万〜数十万円変わることも珍しくありません。
②「おいしい話」から資産を守る(守る力)。退職金や年金を狙った営業は、残念ながらシニアに集中します。銀行窓口の「退職金特別プラン」、手数料の高い外貨建て保険、よく分からない投資話……。向こうからやってくるおいしい話は、まず疑う。これだけで大きな失敗のほとんどは防げます。
お金は「使ってこそ」――学びと仲間への投資はケチらない

最後に忘れてはいけないのが「使う力」です。お金は貯めること自体が目的ではなく、人生を豊かにする道具です。健康のため、学びのため、そして仲間と過ごす時間のため。そこに使うお金は、シニアにとって最高の投資だと私は思っています。
私自身、大阪高齢者大学に通って学びと仲間を得たことは、金額以上の価値がありました。年間数万円の受講料で、毎週の楽しみと新しい友人が手に入るのですから、こんなに割の良い使い道はなかなかありません。(詳しくは前回の記事「大阪高齢者大学で見た、学び続ける人の元気の秘密」もご覧ください)
まとめ――今日が人生で一番若い日
・富裕層ピラミッドは「世間を知る」参考程度でいい。悲観も焦りも不要
・比べる相手は他人ではなく、過去の自分
・まずは資産と負債の総点検で「現在地」を数字にする
・固定費を見直し、おいしい話から身を守り、学びと仲間には気持ちよく使う
両学長の言葉を借りれば、「今日が人生で一番若い日」です。何歳からでも、お金の勉強は始められます。まずは今夜、紙とペンを用意して、ご自身の総点検から始めてみませんか?
※本記事は一般的な情報の紹介であり、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言ではありません。また、リベラルアーツ大学(リベ大)公式とは関係のない、一学習者としての個人の感想・紹介です。

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