先日、テレビで「終活」という言葉を耳にして、ふと気になりました。よく聞く言葉だけれど、実際に何をすることなのか、恥ずかしながらよく分かっていません。そこで今回、自分自身の勉強も兼ねて、終活の基本を調べてまとめてみることにしました。同じように「なんとなく気になっているけれど、何から手をつければいいか分からない」という方の参考になれば嬉しいです。
終活とは、「これからをよりよく生きるための活動」
終活とは何か
終活とは、人生の終わりに向けて、生前にさまざまな準備をしておく活動のことです。医療や介護についての希望を伝えておくこと、身の回りの整理、お葬式やお墓についての準備など、内容は多岐にわたります。
目的は大きく3つあるようです。
- 残される家族の負担を減らすこと(何も分からないまま、家族が慌てて手続きに追われるのを防ぐ)
- 自分の人生を振り返り、これからをより良く生きること
- 将来への漠然とした不安を減らし、安心して毎日を過ごすこと
「終わりの活動」と書きますが、実際には「これからをよりよく生きるための活動」という側面が大きいのだと知り、少し印象が変わりました。
いつから始めればいいの?
調べてみて意外だったのが、「何歳から始めるべき」という決まりは特にない、という点です。80代から始める方もいれば、50代、60代のうちから少しずつ取り組む方も増えているようです。
大事なのは、気力・体力が十分にあるうちに、余裕を持って始めること。体調を崩してから慌てて始めるより、元気なうちに少しずつ進めておく方が、本人にとっても家族にとっても安心です。
何から始めればいいの?——まずは「エンディングノート」
いろいろな終活活動がある中で、初心者が最初の一歩として取り組みやすいのが「エンディングノート」を書くことだと分かりました。
エンディングノートとは、自分の希望や情報を書き留めておくノートのことです。決まった形式はなく、書けるところから自由に書いてよいのが特徴です。一般的には、こういった項目が含まれます。
・自分の基本情報(氏名・生年月日・血液型など)
・財産の情報(預金口座、保険、不動産など)
・医療・介護についての希望(延命治療をどうするか、など)
・葬儀・お墓についての希望
・家族や友人へのメッセージ
大きなポイントは、エンディングノートには法的な効力がないということです。「財産は誰々に譲る」と書いても、それだけでは正式な効力を持ちません。あくまで「自分の希望を家族に伝えるためのメモ」という位置づけです。
うれしい発見だったのですが、多くの市区町村では、エンディングノートを無料で配布しています。お住まいの自治体のホームページで「エンディングノート」と検索するか、市役所の福祉課・高齢者支援課、地域包括支援センターなどに問い合わせると、もらえることが多いようです。まずは一冊、手に入れてみるところから始めるのがよさそうです。
エンディングノートと「遺言書」は別物
エンディングノートを調べていて、必ずセットで出てくるのが「遺言書」との違いです。ここは私も混同していたので、整理しておきます。
| エンディングノート | 遺言書 | |
| 法的効力 | なし | あり(法律の要件を満たした場合) |
| 形式 | 自由 | 法律で定められた形式が必要 |
| 内容 | 希望や思いを自由に記載 | 財産の分け方など、法的な事項を記載 |
| 費用 | 基本的に無料 | 種類による(自筆証書は無料、公正証書は手数料あり) |
つまり、「財産をどう分けるか」を確実に実現したいなら遺言書、それ以外の希望や気持ちを伝えたいならエンディングノート、という使い分けになるようです。
遺言書にもいくつか種類がありますが、代表的なのは次の2つです。
・自筆証書遺言:自分で手書きして作成する遺言書。費用はかからないが、書き方の不備で無効になるリスクがある。2020年からは法務局に預けられる「保管制度」もでき、この制度を使うと家庭裁判所での「検認」という手続きが不要になる
・公正証書遺言:公証役場で、公証人と一緒に作成する遺言書。手数料はかかるが、専門家がチェックするため無効になりにくく、最も確実な方法とされる
いきなり遺言書を書くのはハードルが高いと感じる方も多いはず。まずはエンディングノートから始めて、必要性を感じたら専門家(弁護士や公証役場)に相談する、という順番で十分だと分かり、少し安心しました。

エンディングノート以外にも、こんな活動があります
調べてみると、終活には他にもさまざまな活動があることが分かりました。すべてを一気にやる必要はなく、気になるものから少しずつ進めればよいようです。
・財産の棚卸し:預金口座、保険、不動産に加えて、最近は「デジタル資産」(ネット銀行、証券口座、サブスクの契約など)の整理も重要視されています。ログイン情報が分からず、家族が困るケースが増えているそうです
・医療・介護の意思表示:延命治療を望むかどうか、介護が必要になったときにどうしたいか、あらかじめ意思を示しておく
・葬儀・お墓の準備:どんな葬儀にしたいか、お墓はどうするか(既存のお墓、樹木葬、納骨堂など選択肢が広がっています)
・生前整理・断捨離:身の回りの持ち物を少しずつ整理する。思い出の品を見直すきっかけにもなる
・家族との対話:ノートに書くだけでなく、実際に家族と話しておくことも大切、とどの情報源でも強調されていました

60代の私たちには、もうひとつの終活がある——親の終活
自分の終活について調べていて気づいたことがあります。60代の私たちの世代は、自分自身の終活と同時に、まだ元気な親の終活にも向き合う時期にあたる、ということです。
基本的な考え方は、これまで紹介してきた内容と同じです。エンディングノートを書いてもらう、財産の情報を整理しておいてもらう、医療や介護についての希望を聞いておく。やること自体は変わりません。
ただし、これが驚くほどデリケートな話題であることも分かりました。子どもの側からすると「もしものときに困らないように」という純粋な気持ちでも、親の側からすると「早く死んでほしいと思われているのか」「財産を狙っているのか」と、思いがけない受け取られ方をしてしまうことがあるそうです。せっかくの気遣いが、親を傷つけてしまっては本末転倒です。
そこで、いくつか心に留めておきたいポイントがありました。
・いきなり本題に入らない。「終活についてどう思う?」と切り出すよりも、まずは「最近、体調はどう」「困っていることはない?」といった、日々の暮らしの会話から始める
・「死」や「片付け」を連想させる言葉を避ける。「もしものときのために」ではなく、「これから安心して暮らすために」といった前向きな言葉に置き換えるだけで、受け取られ方がやわらぐそうです
・自分の終活から話す。「私も最近、エンディングノートを書いてみたんだけど」と、自分自身の話として切り出すと、親も身構えずに話に乗ってくれやすいようです
・親が乗り気でなければ、無理に進めない。タイミングは人それぞれ。今日ダメでも、また別の機会に
私自身、まずは自分のエンディングノートを書いてみて、それから「実はこんなノートを書いてみたんだけど」と、それとなく親に話してみようと思っています。焦らず、親のペースに合わせて。

まとめ——完璧を目指さず、まずは一冊のノートから
今回調べてみて感じたのは、終活は「重く暗いもの」ではなく、「これからの人生をどう生きたいか」を考えるための、前向きな活動だということです。
・終活に「いつから」の決まりはない。元気なうちに始めるのが理想
・最初の一歩は、無料で手に入るエンディングノートを書いてみること
・エンディングノートには法的効力がない。財産分けを確実にしたいなら遺言書が必要
・財産整理、医療・介護、葬儀・お墓、生前整理など、気になるものから少しずつでよい
・60代なら、自分の終活と並行して、親の終活にもそっと向き合ってみる
私自身、まずは自治体のエンディングノートを取り寄せてみようと思います。そして少し落ち着いたら、同じことを親にもそれとなく伝えてみるつもりです。同じように「気になっているけれど何から始めれば……」という方は、ぜひ一緒に、小さな一歩から始めてみませんか。
※本記事は一般的な情報の紹介です。相続や遺言に関する具体的なご相談は、弁護士・司法書士・公証役場など専門家にご確認ください。

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